planet;nakanotori

天文・鉱物・その他。調べたことや自分用のメモなどを書きます。

最近買った、小さなカメラのこと

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いままで使っていたデジカメが壊れてしまったので、1月に新しいカメラを買いました。LumixのGM5という機種です。普通のコンデジからの置き換えなので、安くて小さいものを選びました。大きさの比較のため傍に毛抜きを置いてます。このカメラ以外にまともに写真が撮れるものがないのでいろいろひどい画像です。

 

とても機敏なカメラです。スイッチを入れてすぐ使えます。意地悪して何度もON/OFFを切り替えてもすぐに撮影できます。AFもパシっとハマります。悪・即・斬です。ブラックボックスでの処理が人を待たせません。

 

ただし電子接点のないレンズを使うと電子シャッター強制になるところは不可解です。コンニャク現象が出ます。完全に盲点でした。色々なレンズで遊べるミラーレスの利点を一つ潰してしまうので、ファームウェアでの修正を期待しています。でも発売から時間が経っているし高級機でもないので多分ムリかな…

 

多目的な光学センサーとして柔軟に遊べるとなお良いのですが、まだ未知数です*1。カメラ用レンズを取り付ける以外の無茶な使い方もしたいので、ゴミ取り機能が優秀なところも大事にしたいポイントです。

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*1:そういう用途ならソニーオリンパスがカメラをコントロールするためのSDKを公開しているので、そちらを利用したほうが面白いかも

Cameras | Sony Developer World

オリンパス OPC Hack & Make Project

ヒッパルコス星表のデータを取得する

ヒッパルコス星表のデータを取得して、使いやすいようにcsv形式にします。

 

【まめちしき】ヒッパルコス星表はヒッパルコス衛星という観測衛星によって観測された星のデータベースで、一般的に星といわれるものの位置や視差、明るさ、スペクトル型などを含む網羅的なデータベースです。

 

国立天文台のデータアーカイブセンターで種々のカタログデータがまとめてあり、その中にヒッパルコス星表も含まれています。

 天文データアーカイブセンター *1

 ┗天文カタログ、学会誌論文中の表データ、関連情報 *2

  ┗カタログ一覧(HTML形式)

   ┗1. Astrometric Catalogues

ここにある1239  The Hipparcos and Tycho CataloguesからダウンロードするFTPサイトに飛べます。NASAでもCDSでもいいので、hip_main.dat.gzというファイルがお目当てのヒッパルコス星表のデータです。

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しかし、このデータはヒッパルコス星表の全ての項目を丸ごとテキストにしており、サイズは53MBほどあります。12万行近いデータは取り回しが面倒であり、これら全ての情報が必要になるケースも限られます。

 

以下に掲げるNASAのサイトでは、ほしいパラメーターの種類・範囲を選択することで必要最小限のデータを抽出・ダウンロードすることができます。

HEASARC Browse: Search of STAR CATALOG Catalog(s)

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左のチェックボックスで取得したいパラメーター(列)を選びます。"Query Terms"というところでは数値の範囲を指定できます。たとえば"vmag"(視等級)の行で"<1.5"と入力すると、1.5未満*3の視等級のデータだけを抽出することができます。

 

各パラメーター(列)の説明はこちらのページにあります

HIPPARCOS - Hipparcos Main Catalog

 

ここではname, ra(赤経), dec(赤緯)*4, vmagの4つで試してみます。

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 ページの下の方に行くと、色々なオプションがあります。Coordinate SystemはとりあえずJ2000(2000年分点)で大丈夫です。Limit Results Toは状況に応じて設定します。今回はいわゆる1等星だけを抽出するので、20では足りませんが30あればお釣りが来ます。

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Start Searchをクリックすると設定の通りにデータが抽出されます。データ量によっては時間がかかります。今回は一等星だけなので、すぐに表示されました。

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実はここに上がっているデータは22行になっています。一等星は21個として知られていますが、実はケンタウルス座αは連星であり、そのうちの2つが一等星クラスの視等級です。肉眼ではひとつの星に見えます。そんな事情から、ここでは22個の星の座標データを得ることになりました。今回のように少ないデータならこの表を直接エクセルにコピペすることもできますが、もうすこし大きい場合はページ上方にある"Save All Objects To File"をクリックすることで結果をダウンロードできます。

 

ダウンロードしたテキストは、先の国立天文台のサイト経由でダウンロードしたものと同じやり方で区切られたデータです。

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各パラメーターは固定長になっています*5。データの区切りは"|"です。これをcsvになおします。

 

適当なスクリプトで処理するのもいいですが、ここでは簡単にExcelをつかいます。コピペすれば自動でどうにかなります。ならない時も、"区切り位置"という機能を使えば自由に区切り記号を指定できます*6

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あとは名前をつけて保存をするときに、csv形式を指定すれば完了です。

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できました!

 

 

※輝星星表の取得のやり方はこちらを参照してください。

coelostat.hatenablog.com

*1:2018年10月24日現在、天文データセンターにはつながらないため、天文データアーカイブセンターへリンク先を切り替えました。

*2:2018年10月24日現在、上位ディレクトリの天文データアーカイブセンターのリンクが「休止中」というページに飛ばされてしまうため、直リン貼り直ししました。

*3:あくまで数字の上で1.5より小さいので、1.5等より明るい星のことです

*4:raは時分秒、decは度分秒で表記される形式です。十進数のデータが欲しい時は少し下にあるra_deg、dec_degを選択します。

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*5:文字数が揃っている、ということです

*6:Mac用のExcelなのでWindowsでは振る舞いが違うかもしれません

天の北極と天の赤道と周極星のこと

この前の冬至の記事の要領を用いて、今度は北極星天の赤道の高度と周極星などについて書きます。また、この記事では説明をシンプルにするため、北半球からの観測のみを考えるものとします。

 

0.天球と赤道座標のこと

前提知識として、まず天球の解説をします。

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見かけの宇宙を、地球を中心とした半径が無限遠の球体とみなす概念が天球です。天文学の文脈では、地球上の北極、南極、赤道、経緯度などを天球上に転写した座標系をよく用います。それぞれ天の北極、天の南極、天の赤道赤経赤緯と称し、これらを用いた座標系を赤道座標と呼びます。天域や天体の所在地などを数値で表現できます。

 

1.天の北極(北極星)の高度

北極星*1の高度を求めます。

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太陽と同様、北極星無限遠にあるとみなせるため、地球の直径程度の視差は無視します。今回は簡潔に、地球を表す円周を省略して考えてみます。fig.2のように、円周を縮小し、中心点と重なるくらいにまで小さくしたと考えても大丈夫です。

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太陽の時と同様、円周の接線と北極星とのなす角が北極星の高度です。北緯36°の観測者から見た北極星の高度は、fig.3より36°です。天の北極は観測地点の北緯と同じ値になります*2。また、北極星の高度を測ることで、北半球の観測者は自分の現在地の緯度を知ることができます。

 

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なお、北極点(北緯90°)では天の北極は地軸の延長上、真上(高度90°)にあります(fig.4参照)。次に赤道直下(北緯0°)からみた北極星ですが、こちらも簡単です。地軸と同じ方向にある北極星は水平線と重なり、高度は0°となります(fig.5参照)。

 

 

2.天の赤道のこと

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地球の赤道から見て真上にくる大円が天の赤道です。冬だとオリオン座の真ん中を通っています。写真の三つ星の一番右、ミンタカという星がほぼ天の赤道上にある星なので、オリオン座を見つけたら「あの辺に天の赤道があるんだな」と思ってください。天の赤道を境に、北が北天、南が南天となります。

 

天球の緯度を表す赤経で90°の地点は天の北極、0°の地点は天の赤道です。ミンタカの正中高度、つまり天の赤道の一番高いところの高度は、北極星と同じように計算できます。

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北緯36°の観測者から見た場合、fig.6より90°-任意の緯度から計算できることがわかります。北緯36°の地点からだと、90-36=54°ということになります。赤道直下(北緯0°)ではもちろん高度90°、北極点(北緯90°)では水平線と重なり高度は0°です。

 

 

3.天球の観測南限*3

北半球から天の南極は見えず、南半球からは天の北極が見えません。観測地点によって天球の見える領域に制限があります。たとえば東京からみて、冬に見ることの出来るカノープス*4という一等星は正中時にすこしだけ水平線上に顔を出し、すぐに沈んでしまいます。東京近辺の緯度からだと、カノープスより南の星は常に水平線の下に隠れてしまい、見ることができなくなります。前節の北極点からみたミンタカと同様に、観測者から見た高度が0°付近というのは、そこが観測可能な天球の南限ということになり、もっと南の観測地からでないと見ることができません。

 

観測地点の緯度から、天球がどこまで見えるのか計算してみましょう。天球の緯度は北緯と南緯に分かれておらず、まとめて"赤緯"とよびます。天の北極が+90°、天の赤道が0°、天の南極が-90°です。南天の緯度はマイナス符号を付けて表すことが出来るわけです。

 

繰り返しですが、水平線の高度(高度0°)は90°から観測点の緯度を引くことで求められます。

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 東京を北緯36°とすると、ここから見える天球の南限は赤緯-54°となります。考え方は天の赤道を求める時と同じですが、天の赤道の場合は水平線を起点にして54°、こちらのケースでは天の赤道を起点にして南方に54°となり、南天なのでマイナス符号になります。

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fig.8は、北緯36°の観測者の地平を図中で水平となるようにおいたものです。カノープス赤緯が約-52°です*5から、正中時でも水平線からわずかに2°上方に登るのみとなります。赤緯が-54°よりも南の天体は東京よりも南の地域に行かなければ観測できないということがわかりました。

 

 赤緯約-57°のアケルナル*6の場合、東京からだと最大でも水平線の3°下方になるため、見ることができません。北緯33°の地点で水平線と重なり、北緯32°から見ると水平線から1°だけ顔を出します。

 

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ついでとばかりに、全天に21ある一等星の正中高度を全て図示しました。円周は天球です。*7

 

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これら一等星の全てを見ることの出来る地域も求めることができます。一番北のカペラから一番南のアクルックス(みなみじゅうじ座α)までの範囲が水平線の下にはいらないエリアを求めます。

アクルックス*8が高度0°となる緯度は90-63.06=26.94・・・①

カペラ*9が高度0°となる緯度は90-46=44・・・②

 ①は最も南の一等星が見える限界、②は最も北の一等星が見える限界ですので、北緯26.94°〜南緯44°までのエリアなら全ての一等星を見ることが出来る計算になります。ただし①や②の緯度では高度が0°であり、実際の観測は困難です。余裕を持ってアクルックスもカペラも15°以上の高度に上がるエリアとなると、北緯11.94°〜南緯29°となります*10

 

余談(^q^)→*11

 

4.周極星

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 今度は北向きの話です。北半球で北の方角をみると、天球は北極星を中心とした回転運動をしているようにみえます。北極星は年中沈みません。北極星に近い星も水平線の下に隠れないため、一年中観測できます。このような星を周極星と呼びます。北極星からどこまでが周極星なのかを計算します。北を向き、観測者からの見かけの高度が0°の水平線上が赤緯何度になるのかを求めれば、周極星を決定することができます。

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北緯36°の東京で考えます。水平線を起点にすると、北極星(天の北極)の高度は観測地点の北緯と同じであることは先に書いたとおりです。したがって北極星(天の北極)から水平線までは(赤緯)90°-(北緯)36°で54°となります。つまり、東京から見ると赤緯54°以北の天体は水平線下に沈むことなく一年中観測することができることがわかりました。

 

同じように、北緯90°の北極点では天の赤道以北のすべての星が周極星となり、赤道直下では周極星がないということも簡単に理解することができます。

 

 

*1:今現在、北極星として知られているのはこぐま座のα星・ポラリスです。実際には正確に天の北極にあるのではなくわずかにズレていますが、まあ大体北極でOKでしょという感じです。1000年単位でみると、天の北極は動いており(歳差運動といいます)ポラリス北極星なのは一時的なものです。歳差運動についてはまたそのうち書きます

*2:南半球では、観測地点の南緯が天の南極の高度と同じ値を取ります

*3:この言葉は私がいま適当に作ったものですから注意してください。ちゃんとした表現も探せば有りそうなのですが、私は今のところ知りませんm(_ _)m

*4:りゅうこつ座α星。全天で二番目に明るい一等星です。

*5:赤緯-52.42° 赤経6h24m 理科年表 平成28年版p.109による

*6:エリダヌス座α星。エリダヌス座は東京からも一部見ることができますが、アケルナルはエリダヌス座の南端の方にあり、見ることができません

*7:fig.9中の赤緯はすべて理科年表 平成28年版による

*8:赤緯-63.06°

*9:赤緯46°

*10:①・②の値からそれぞれ15を引いて求めました

*11:余談ですが、映画『ビルマの竪琴』(市川崑監督 1956年版。1985年版は見たことがないので脚本の差異などは知りません。)のラストで水島上等兵が隊の仲間に宛てた手紙の中で「わたくしは ビルマの国にいて 雪のつむ高山から 南十字星の輝く磯のほとりまで いたるところをさすらって歩きます」というくだりがあります。ビルマ(いまのミャンマー)をみると、

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国土の北端付近はヒマラヤ山脈の東端にかかり、南端はアンダマン海という海に面した北緯10°前後の地域となっています。まさに南十字星が見える沿海地域です。この手紙の一節は、ビルマ全土を端的に言い表した表現だったということがわかります。

ミャンマーの地形図の引用元(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%9E%E3%83%BC#/media/File:Burma_topo_en.jpg)

データの保存とcsv形式のことなど

Excelでも読めるけれど、ずっとシンプルで互換性の高いデータの形式について。編集はテキストエディタで行えるので、どんな環境にも対応できます。書式の情報などもないため容量も軽く済む。ただし2バイト文字を使用するときは文字コードに注意しないと文字化けします。

 

CSV(Commma-Separated Values)形式

データの各行をカンマで区切ったテキスト

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TSV(Tab-Separated Values)形式

こちらはデータの各行をタブで区切ったテキスト

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どちらの形式もExcelで読み込めます。

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冬至の幾何学

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 2015年12月22日は冬至です。北半球では太陽の南中高度が最も低くなり、日照時間も短い日。日本ではお風呂でゆずを潰してあそぶ日です。太陽の高度が低いというのは具体的にどれくらいのものなのか、地球と太陽の関係を説明してみます。

 

 

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上図*1の通り、地球の地軸の傾き(赤道傾斜角)は23.44°*2あり、時季によって太陽光の当たる角度が変化します。赤い線は赤道です。太陽にむかって地軸がいちばんふんぞり返っている時が冬至、いちばん深くお辞儀している時が夏至、直立の時が春分秋分です。太陽光の角度の変化が季節の変化につながります。

 

 

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 ここで、太陽光の角度を扱う都合から、一つだけ決め打ちしておきます。太陽は充分遠くにある*3光源のため、光は地球の公転面に対して常に平行に入射するものとします(fig.2参照)。地球のどの緯度に当たる太陽光線もそれぞれ平行です。このように考えることで、地球上の任意の地点で、見かけの太陽がどれくらいの高度にあるか、シンプルに計算することができます。

 

 

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 地球を表す円と太陽光線の触れる点が太陽の観測地点(fig.3のオレンジ色の点)として、この点における円の接線を観測者から見た地平と考えます。太陽光線と接線のなす角が分かれば任意の地点から、南中時の太陽の高度が求まるというわけです。

 

 

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 たとえば、秋分春分の時は地軸が太陽に対して直立しています。この日の南中時の太陽は赤道上にいる観測者の真上、高度が90°であることがわかります(fig.4)。

 

 

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 次に、冬至夏至の時点ではfig5, 6のようになります。冬至の日に太陽の南中高度が90°となる地点の緯度が南回帰線(fig.5の破線)です。同様に夏至に太陽の南中高度が90°になる地点の緯度が北回帰線(fig.6の破線)です。

 

 

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 さらに、2つの回帰線の緯度は地軸の傾きから求めることができます。*4太陽の南中高度が90°の地点は2つの回帰線の間を一年周期で往復することになります。

 

  ここまでくると、任意の観測地点からみた冬至の南中高度も計算できそうですね。ここでは東京都庁(北緯約35.69°)*5で試してみます。

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fig.8に基本的な考え方を図示します。fig.3でみたように、太陽光線と地球を示す円の接線の角度が太陽の高度となります。次に円の接線と平行な線分を、地球の中心を通るように引きます。観測地点の緯度と地軸の傾きは既知なので、あとは簡単。直角から緯度と地軸の傾きの和を引くことで太陽の高度が計算できます。

  90-(23.44+35.69)=30.87

30.87°が冬至における、東京都庁の緯度から観測した太陽の南中高度になります。

 

同じ要領で、夏至の場合は下図(fig.9)のように考えます。

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直角から観測地点の緯度から地軸の傾きの差を引きます。

  90-(35.69-23.44)=77.75

77.75°が夏至における、東京都庁の緯度から観測した太陽の南中高度になります。

 

 

ここからは余談となりますが、ふたたび冬至の図です。

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北極付近に注目すると、太陽光線の接しないエリアがあることがわかります。ここが一日中日の当たらない極夜となります。緯度が90°の極から赤道傾斜角を引くと

  90-23.44=66.56

つまり、北緯66.56°より高緯度となると、冬至には太陽が昇らないということになります。南極付近をみると、太陽光の接線は南極点を通り越した地点に引けます。このエリアは一日中日が当たる白夜であることがわかります。計算は北極の極夜と同様で、南緯66.56°よりも高緯度の地域では一日中太陽が沈みません。

  夏至の場合、昼夜がこの逆となります。

 

 ここまで、見かけの太陽の高度を中心に説明をしました。高度以外にも黄道上の太陽の位置などについても解説をしたいのですが、思いのほか長くなりましたから今回はこのあたりでやめておきます。

 

*1:

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 春分秋分は本当はこんな感じですが、そこは許してください。あと、おわかりかとは思いますが、上方の極が北極、下方が南極です。図中に示すのを忘れました

*2:理科年表 平成28年 p.78

*3:無限遠とみなすことです。実際には有限の距離ですが、地球のサイズに対して太陽までの距離は充分に大きいため、地球の昼側観測地点の緯度を考慮しません。

*4:実際には、地軸のブレなどの影響でわずかに数値が前後します

*5:https://www.google.co.jp/maps/@35.6896707,139.691805,20z