planet;nakanotori

天文・鉱物・その他。調べたことや自分用のメモなどを書きます。

【Processing】データの取り込み

csv形式のデータをProcessingで読み込む方法です。

  

今回の例で使うデータの中身はこんな感じのものです。ヒッパルコス星表のデータ*1を基に整理をし、IAUによる恒星の固有名のデータ*2を追加したもので、明るい星から順に5等星までの1627天体を収録してあります。

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このファイルをProcessingのエディタ内にドロップすればOK。

 

  コードのサンプル。とりあえずデータの中で固有名・赤経赤緯・視等級10行分を変数に入れてコンソールに表示するもの。for文の継続条件を「i < strNum」とすればデータの全行を対象に出来ます。

Table starCatalog;

void setup() {
  starCatalog = loadTable("data.csv", "header");
  int strNum = starCatalog.getRowCount();
  println(strNum + "stars");
  
  for (int i = 0; i < 10; i++) { 
    String name = starCatalog.getString(i, 1);
    float ra = starCatalog.getFloat(i, 2);
    float dec = starCatalog.getFloat(i, 3);
    float vmag = starCatalog.getFloat(i, 4);
    
    println(name +" " + ra +" " + dec +" " + vmag);
  }
}

 

 実行するとコンソールに読み込んだデータが表示されます。

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*1:

ヒッパルコス星表のデータを取得する方法はこちらを参照

http://coelostat.hatenablog.com/entry/2016/02/16/223337

*2:

恒星の固有名のデータ取得する方法はこちらを参照

http://coelostat.hatenablog.com/entry/2018/10/23/235133

【読書感想文】はい、こちら国立天文台 ―星空の電話相談室

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基本情報 

はい、こちら国立天文台―星空の電話相談室 (新潮文庫)

はい、こちら国立天文台―星空の電話相談室 (新潮文庫)

 

  2001年に出版された『天文台の電話番』(地人館)を改題し文庫化したもの。著者の長沢工(ながさわ こう)氏のことは天文計算関連の著書がいくつかあるためそれらを通じて知っていたが、教科書的なもの以外は読んだことがなかった。軽めのエッセイのような読み物で、本を読むのが遅い私でもすんなりと読了できた。

 

感想

  国立天文台広報普及室(今の天文情報センター)の質問電話を担当していた著者による体験談で、どちらかと言えば愚痴や苦言といったたぐいの話が多いが、私も民間企業(B2C)で不特定多数から来る電話対応の経験があるため、分野は違えど"あるある"だなと思う点が多かった。ちょっと調べれば分かるようなことを聞く人、なぜか喧嘩腰の人、質問電話の趣旨を理解せずに無理な注文を押し付ける人、とにかく話の長い人、まったく話の通じない人や何らかの妄想に執着している人など、どこにでもいるのだなと、変な感心をしてしまった。常識は儚い。

 

  ちなみに国立天文台のサイトのよくある質問には、本書で挙げられた「よくある質問」がことごとく掲載されている。

よくある質問 | 国立天文台(NAOJ)

  また、質問電話の番号を掲げているページでは、本書で苦言を呈されているような困る種類の質問パターンを丁寧に例示している。電話番のノウハウがきちんと表に出ているのだなと感心した。逆に言えば、それだけリソースが逼迫しているのかなとも思う。

天文や国立天文台に関する質問 | 国立天文台(NAOJ)

 

  もちろん悪い話ばかりでなく、ほっこりする話もあるし(とくに子供の相手をする話。「サーターアンダギー」の章など)、質問電話だけでなく電話番をする"中の人"たちの話も楽屋裏話のようで面白い。

  苦言は多くとも、天文の広報普及に尽くしたいという著者の想いからくるものであるので、読んでいて嫌な気持ちになるものではないし、天文に関する知識のない読者にとって、所々に挟まれる薀蓄はためになると思う。知識がある読者にとっては、普通のひとが天文分野についてどのような疑問を持っているか、何を知りたがっているかという点が参考になると思う。観望会のボランティアなどをする人にとっては小話のネタや想定問答の予習になるかもしれない。

  そんなことを考えてみると、この質問電話も科学コミュニケーターの仕事の一つなんだなと、妙に納得してしまったり。

 

手動の真空ポンプと真空槽を作る

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ちょっとした実験や実用目的(脱泡など)で手頃かつ安価な真空槽が欲しいなと思ったので作りました。ポンプは市販のシリンジ、真空槽は無印良品のアクリルポットを使っています。材料を揃えた時点でちゃんと写真を撮っていなかったので簡単なメモ程度の記事です。

 

真空槽

アクリルポットはこれ。肉厚のアクリル材なので強度があり、値段も安く丁度よかった。もちろん真空対応を謳っていないので自己責任です。

 

 

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蓋の部分にパイプを通す穴を開けます。適当な長さに切ったパイプを穴に挿し、固定します。固定には何らかの接着剤を使うつもりでしたが、今回は試しにUVレジンを使用してみました。パイプと穴との隙間になるべくレジンが入るようにしてから硬化処理をします。強度が出るよう追加でレジンを円錐状に盛りました。

今回はアルミにしましたが、アクリルや塩ビなどでも大丈夫だと思います。

 

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気密をつくるためパッキンが必要です。既製品に丁度いいものが見つけられなかったので自作しました。10cm角のシリコンゴムシートをポットにあてて、油性ペンでキリトリ線を書き、カッターで切ればOK。フリーハンドなので少しいびつです。

シートはハンズで450円くらいしたのですが、後日SeriaでUVレジン用品のコーナーに作業用のマットとして同じくらいのサイズのシリコンゴムシートを見つけたので、そちらのほうが安上がりです。

 

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エアー用のきちんとしたホースは高価だったので、観賞魚の水槽用のものを買いました。350円くらいでした。なるべく肉厚のものを選ぶのがポイントです。内径はなるべくシリンジに合うもの選び、真空槽側のパイプをホースに合うものにします。オス側が太くて入らないときはホースが焦げない程度にライターなどで炙って熱した状態でねじ込みます。オス側が細くてゆるい時はオス側にセロテープ等を巻いて直径を水増しすると良いでしょう。

 

ポンプ

ポンプの作り方は検索すると色々出てきます。

作り方の参考サイト(ポンプ部分)

真空を作ってみよう 〜注射器真空ポンプの製作〜|おもしろ科学実験室(工学のふしぎな世界)|国立大学56工学系学部HP

 【プラズマ発生中】注射器減圧ポンプでグロー放電【その4】 - 煮物運輸のページ

 

2つのサイトで少し作り方に違いがあります。上のサイトは写真が多く丁寧に順序を説明しているので、先に読むのがおすすめです。両者ではとくに排気弁の取り付け位置が異なり、私は下のサイトの位置にしています。シリンジはハンズで300円くらいで売っていたものです。弁は真空槽のパッキンに使用したシリコンゴムシートが流用できます。すべてセロテープで付けています。

  

 排気弁はシリンジの側面につけるやり方もあるようですが、円筒の底部分に付けるほうがギリギリまで空気を掃き出せるような気がしたので、底部分にしました。コツはとくにありませんが、シリンジ内面に塗られている潤滑剤が石鹸で軽く洗ったくらいでは落ちてくれなかったので、エタノールでリンスしました。

 

使ってみる

とりあえず真空引きするとなるとマシュマロかな、という気がしたのでやってみました。※一応書きますが、生き物は中に入れないようにしましょう*1

 

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左が真空引き後のマシュマロ

 常圧に戻すと元のサイズより小さくなるのは、膨張した際に内部の気泡が破裂したからでしょうか。味はとくに変わりませんが、食感がすこし固くなったかなという程度の変化でした。

 

*1:さすがにカビや細菌などは仕方ないです

【読書感想文】科学プロデューサ入門講座

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基本情報 

科学プロデューサ入門講座

科学プロデューサ入門講座

 

  国立天文台の「一家に一台天体望遠鏡プロジェクト」の情報からたどり着いた合同会社科学成果普及機構という組織のサイトで存在を知った本。国立天文台科学文化形成ユニット編とある。内容は面白そうだけど一般的な書籍取次のルートで流通していないものなのか、どうにも素性が分からない。ciniiで大学図書館の蔵書を検索すると、国立天文台図書室と総研大付属図書館を除けば4館しか見つからない。著者陣の素性は良い意味で明らかなのに、本書の内容に関してはあまり情報が見当たらず、書評などもないので却って興味をそそられた。そんないきさつから、Amazon経由で一冊注文してみた。

  読む前に謎だった点は本書を読むとすべて説明されていた。出版社クオリティの校閲を経ていないらしく、どの章にも初歩的な誤字脱字が散見されるが、どちらかと言うと講義で使う資料を講師陣が手作りしたというもの。見た目はきちんと製本されているけれど、内容の充実したレジュメのような立ち位置とも言える印象だった。

 

 

科学文化形成ユニットとは

  そもそも科学文化形成ユニットとは何なのか。検索するといくらか関連するサイトや文書がヒットした。

宇宙映像利用による科学文化形成ユニット:トップ

 天文系科学コミュニケータのキャリアパス 縣秀彦 (http://www.asj.or.jp/geppou/archive_open/2016_109_07/109_473.pdf) 天文月報2016年7月

 科学文化形成に向けての人材創出事業の課題と展望 -国立天文台科学文化形成ユニット5年間の活動の総括- 日本科学教育学会年会論文集 Vol.36(2012)

 

  簡潔にまとめると、国立天文台(と三鷹市)で行われた社会貢献事業の一種で、科学コミュニケーションに重きを置いた人材育成を目指すというもの。具体的には観測データ等を利用した映像コンテンツ制作を行う映像クリエーターや、科学コミュニケーションを事業として運営できる科学プロデューサの育成を行うため、各分野の専門家の協力のもとで養成講座を開講したというもの。2007年から5年に亘って行われた後、予算が新たに取れなかったため終了したらしい。

  本書はその講座の内容を集成、講座が終了した現在では新たに興味を抱いた人が内容を学べる講義録であり、また科学プロデューサ養成事業の成果をまとめたものでもある。

 

 

 感想

  国立天文台で行われた事業であるから天文学寄りの内容とはなっているが、必ずしも天文分野に限定されているわけではない。

大きく分ければ以下のトピックにまとめられる。

  • 科学コミュニケーションの概論
  • 科学ジャーナリズム・広報普及活動
  • 科学と映像制作について
  • 科学コミュニケーションの事業運営
  • SOHOビジネスとしての起業

  特徴は、あくまで科学コミュニケーションを事業として成立させることが目標であるため、ただの講義で終わらないビジネススクール的な側面が挙げられる。実際のシラバスを見ると、SOHO起業講座を平行して受講するように出来ているのがわかる。本書では卒業生のその後についてもまとめられており、分量こそ多くないがきちんと効果測定の視点がある。

 

  元々が映像利用を前提としているためか映像表現に関するパートは分量があり、力が入っている印象だった。映像そのものの製作法の解説ではなく科学映像というジャンルの特殊性にフォーカスした内容のため、既に映像制作を経験したことのある人であれば読んですぐに役立つ部分は多いと思う。

 

   本書中で通底しているのは、(科学)知識の伝達方法の探求に尽きると思う。科学の知識を伝達・共有する第一の方法は論文によるものであり、これは科学者のコミュニティで通常用いられる手段である。問題は、このやり方だと科学者以外には伝わらないということ。従前から存在するのは科学ジャーナリストを通じた情報伝達だが、報道や書物を通じた方法には限界がある(とくに分かりやすさと正確さのバランス。本書でも科学報道に関する章が2つあり、詳しく書かれている)。

  本書が扱うのは論文以外の方法であり、博物館での展示などの伝統的なものからサイエンスショーや映像メディア利用などの新しい方法まで多岐にわたる。方法は絞らず、可能性を提示・敷衍していくスタイルといえるかもしれない。それぞれの方法の歴史や特長、それから現状について。

 

 

科学コミュニケーションは職業になるか

  科学コミュニケーションを職業として成立させるのが難しいのは、科学コミュニケーター自体の認知度が低い等の課題もあるが、一番の問題は人にお金を出すことを渋る社会の風潮そのものだと思う。低賃金やボランティア頼みなことも多い(そして担い手はその仕事が好きで、彼ら彼女らの意欲に支えられている)。ソフト的な仕事にはお金が回らない*1。この分野でのマネタイズを成功させるには、科学コミュニケーションという局所的な分野での努力よりも、広く一般に「人の知識や技能に対して正当な対価が支払われるのが当然である」という風潮が醸成されなければ経済の循環に乗ることができず、職業としては成立しない思う。

  これは昨今の労働問題や低賃金問題などの文脈で取り組まれるべき課題であり、ここをクリアしなければ個々がどれだけ魅力的な発信をしていても、本業の合間に趣味やボランティアとして取り組む以外の道が閉ざされてしまう。

  本書での起業の例をみても、元々なんらかの商売をしている、仕事を通じた技術や人脈がある、などの商業的な基盤を持っていることが多く、科学コミュニケーション技能それだけをもって職業とするには困難を伴うのが想像できる。

 

  一方で、働き方改革にともなう労働時間の削減や副業解禁などのトレンドは市民による草の根活動に追い風となるかもしれない*2。消極的ではあるが、そういう「隙間」に科学コミュニケーションにマネタイズの能力を取り入れた科学プロデューサが出現する土壌は有り得ると思う。

   科学プロデューサ養成講座こそ終了したが、このような講座の知見が成書として出版されていることは意義のあることだと思う。一つ難を挙げるとすれば、この本へのアクセスがよくないという点。書店で見かけず、通常の公立図書館には無く、大学図書館にも殆どない。科学者と市民との橋渡しをする人材のための本が、どちらかといえば科学者サイドの人にしか見つけられない状況はもったいない。

 

  本記事執筆時点ではAmazonで普通に買えるので、興味のある人はどうぞ。

 

*1:知識にお金が流れる分野といえば受験産業が思いつくが、これは学歴を手に入れるためであるし、そのほか資格試験に関することも国家資格による独占業務と就業機会の拡大というメリットが大きい。ただし資格試験は趣味性の側面もあるため、例えばこの科学プロデューサ養成講座の卒業生が立ち上げた星検などはお金が回りやすい部分をうまく突いた事業といえる。

*2:良い話ではないが、残業の削減・禁止による収入の低下を補いたいという意欲も同様に追い風となるかもしれない

ブログにソースコードを貼るときのアレ

はてなブログソースコードを貼り付けるときシンタックスハイライトをさせる方法をいくつか検討。highlightsというものを使ってみました。はてブでつかえる、簡単に使える、色とか選べる、processingに対応してる、なるべくシンプル、という条件で選びました。

 

公式→ https://highlightjs.org/

 

 やり方はこちらのサイトを参考にしました。

yosiakatsuki.net

メジャーな言語ならブログのヘッダー行に特定のコードを書き込めばOK。

その他の言語も公式サイトでカスタマイズした.jsファイルを出力できるので、自分が使う言語を選択できる*1。公式でダウンロードした.jsファイルとcssファイルをどこかにアップロードして、ブログのヘッダーに書くコード内でパスを指定すると準備完了。

 

あとはHTML編集モードでこのタグの間に書きたいコードを挟めば良い。

<pre><code>hoge</code></pre>

以下はサンプル(?)として作った短いプログラムです。

スタイルはrailscastsを使用。processingです。

void setup() {
  size(400, 200);
  strokeWeight(0.5);
}

void draw() {
  noStroke();
  fill(225, 100);
  rect(0, 0, width, height);

  stroke(0);
  noFill();
  beginShape();
  for (int i = 0; i < width; i++) {
    float y = 60*sin((radians(i)-radians(mouseX)*10)/radians(mouseY))+100;
    vertex(i, y);
  }
  endShape();
}

 

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 マウスカーソルの位置によって正弦波が動くだけのプログラムです。

*1:processingはもちろんメジャーではないので公式サイトに行って選ぶ必要があります