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冬至の幾何学

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 12月22日は冬至です。北半球では太陽の南中高度が最も低くなり、日照時間も短い日。日本ではお風呂でゆずを潰してあそぶ日です。太陽の高度が低いというのは具体的にどれくらいのものなのか、地球と太陽の関係を説明してみます。

 

 

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上図*1の通り、地球の地軸の傾き(赤道傾斜角)は23.44°*2あり、時季によって太陽光の当たる角度が変化します。赤い線は赤道です。太陽にむかって地軸がいちばんふんぞり返っている時が冬至、いちばん深くお辞儀している時が夏至、直立の時が春分秋分です。太陽光の角度の変化が季節の変化につながります。

 

 

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 ここで、太陽光の角度を扱う都合から、一つだけ決め打ちしておきます。太陽は充分遠くにある*3光源のため、光は地球の公転面に対して常に平行に入射するものとします(fig.2参照)。地球のどの緯度に当たる太陽光線もそれぞれ平行です。このように考えることで、地球上の任意の地点で、見かけの太陽がどれくらいの高度にあるか、シンプルに計算することができます。

 

 

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 地球を表す円と太陽光線の触れる点が太陽の観測地点(fig.3のオレンジ色の点)として、この点における円の接線を観測者から見た地平と考えます。太陽光線と接線のなす角が分かれば任意の地点から、南中時の太陽の高度が求まるというわけです。

 

 

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 たとえば、秋分春分の時は地軸が太陽に対して直立しています。この日の南中時の太陽は赤道上にいる観測者の真上、高度が90°であることがわかります(fig.4)。

 

 

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 次に、冬至夏至の時点ではfig5, 6のようになります。冬至の日に太陽の南中高度が90°となる地点の緯度が南回帰線(fig.5の破線)です。同様に夏至に太陽の南中高度が90°になる地点の緯度が北回帰線(fig.6の破線)です。

 

 

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 さらに、2つの回帰線の緯度は地軸の傾きから求めることができます。*4太陽の南中高度が90°の地点は2つの回帰線の間を一年周期で往復することになります。

 

  ここまでくると、任意の観測地点からみた冬至の南中高度も計算できそうですね。ここでは東京都庁(北緯約35.69°)*5で試してみます。

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fig.8に基本的な考え方を図示します。fig.3でみたように、太陽光線と地球を示す円の接線の角度が太陽の高度となります。次に円の接線と平行な線分を、地球の中心を通るように引きます。観測地点の緯度と地軸の傾きは既知なので、あとは簡単。直角から緯度と地軸の傾きの和を引くことで太陽の高度が計算できます。

  90-(23.44+35.69)=30.87

30.87°が冬至における、東京都庁の緯度から観測した太陽の南中高度になります。

 

同じ要領で、夏至の場合は下図(fig.9)のように考えます。

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直角から観測地点の緯度から地軸の傾きの差を引きます。

  90-(35.69-23.44)=77.75

77.75°が夏至における、東京都庁の緯度から観測した太陽の南中高度になります。

 

 

ここからは余談となりますが、ふたたび冬至の図です。

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北極付近に注目すると、太陽光線の接しないエリアがあることがわかります。ここが一日中日の当たらない極夜となります。緯度が90°の極から赤道傾斜角を引くと

  90-23.44=66.56

つまり、北緯66.56°より高緯度となると、冬至には太陽が昇らないということになります。南極付近をみると、太陽光の接線は南極点を通り越した地点に引けます。このエリアは一日中日が当たる白夜であることがわかります。計算は北極の極夜と同様で、南緯66.56°よりも高緯度の地域では一日中太陽が沈みません。

  夏至の場合、昼夜がこの逆となります。

 

 ここまで、見かけの太陽の高度を中心に説明をしました。高度以外にも黄道上の太陽の位置などについても解説をしたいのですが、思いのほか長くなりましたから今回はこのあたりでやめておきます。

 

*1:

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 春分秋分は本当はこんな感じですが、そこはまあ、許してください。あと、おわかりかとは思いますが、上方の極が北極、下方が南極です。図中に示すのをわすれました:P

*2:理科年表 平成28年 p.78

*3:無限遠とみなすことです。実際には有限の距離ですが、地球のサイズに対して太陽までの距離は充分に大きいため、地球の昼側観測地点の緯度を考慮しません。

*4:実際には、地軸のブレなどの影響でわずかに数値が前後します

*5:https://www.google.co.jp/maps/@35.6896707,139.691805,20z

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